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(76)崇徳上皇の経沈め~大槌・小槌物語

保元元年(1156)の夏のこと,崇徳上皇(すとくじょうこう)が讃岐へ配流となる。ひとまず,高屋(現在坂出市)の綾高遠(あやのたかとう)の邸へ入られたが,間もなく長命寺へ移り住まわれた。高遠は,上皇さまの無聊(ぶりょう)をなぐさめるため娘を仕えさせた。

 高遠の娘は,都から下られた尊いお方の側近くへお仕えするためらいもあったが,いつかおやさしい上皇さまの胸にいだかれることが喜びとなってきた。そして,綾の局と呼ばれるようになる。

 都でどのようなむごいことがあり草深いこの地へ流されてこられたのか,綾の局には理解できない部分も多かった。だが,悲運をかこつ上皇さまをお慰めするのがわたしのつとめと,綾の局はまめまめしくお仕えするのだった。

 愛の結晶である顕末(あきすえ)も生まれ,静かな生活を上皇さまもお喜びになっていらっしゃると思ったのも束の間,配所は鼓岡(つづみがおか;現在坂出市府中町)の木の丸御所(このまるごしょ)へと移された。御所は厳重な牢舎,丘を背に柵をめぐらし出入りは木戸が一つ,終日番人が立っていた。中には池があり,池のむこうに風雨をしのぐばかりの板葺の小屋。監視はひときわきびしくなり,木戸の外への散策などは許されるはずもない。
御子とともに暮らすことなど思いもよらぬありさま,綾の局さえお側へも寄れない。

 はるばる都から訪ねてきた人とも逢うこともかなわず,上皇さまは日々荒んでゆかれる。鼓岡の配所でこれほどの冷遇を受けるとは,上皇さまにも思いもよらぬこと。あるいは,京都で政変が起こり呼び戻される日があるやも知れぬと,一縷(いちる)の望みをつないで,生きながらの墓所に上皇さまは座っていらっしゃった。そして,五部の大乗経の写経に励むことで,諦観(ていかん)の境地にはいろうとつとめられた。

 幽囚(ゆういん)三年あまり,上皇さまが心血を注いだ写経が完成,その巻末に

   浜ちどり 跡は都に 通へども 身は松山に 音のみぞ聞く

 御詠を書き添え,父鳥羽上皇の永眠するみ寺へ奉納すべく送られた。だが,呪詛(じゅそ)するものだ,と送り返されてきた。上皇さまは発狂せんばかりに怒りくるわれた。

 「われ魔性とならば,王を奪って下民となし,下民とって王となし,この国に世々乱をなさん」

 みずから舌を噛み,血をもって経巻の奥に誓言を書かれた。経巻の箱にも,小指をくいきって,五部大乗経竜宮へ納め給えと血書され,槌の門の千尋(ちひろ)の海に沈められた。

 槌の門(つちのと)では,海上で火が燃え童子が舞をまった。すると,竜神が現われ経巻をしっかりと受け取ったという。

 それからの上皇さまは,髪もひげも剃らず爪も切らず柿色の衣もまころびるにまかせ,ただ悪念三昧(あくねんざんまい)に都を呪い大魔王になると祈られた。
 木の丸御所に入られてから5年,上皇さまは46才で崩御。綾の局の聞いた死の真相は,讃岐の武士が上皇を弑逆(しいぎゃく)。柳の洞穴へ逃れた上皇さまを追っかけ。水にうつるお姿をみて斬りつけたというのだ。綾の局の悲しみは深かった。高遠とも相談し,上皇の御子顕末は瀬居の島へかくした。

 上皇のご遺骸は,都からの使いが来るまで八十場の霊水にひたされ,検視が終ってやっと荼毘(だび)にふされた。ご葬儀の列が高屋のあたりヘきたときものすごい雷鳴,六角石の上へ柩をすえて雷雨のしずまるのを待った。石の上へは,うす赤い絹の糸を引くような血が流れ落ちた。ご遺体は,白峰の稚児滝(ちごがたき)のあたりで荼毘にふされたが,まっ白い煙がまっすぐたちのぼり,その先が心なしか都の方へたなびいていったと伝えられている。

 崇徳上皇が,五部の大乗経を沈められたので大槌島・小槌島の両島は,経が島とも呼ばれるようになりその神秘さを深めたという。


                  讃岐の民話より
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